仏壇処分の際に魂抜きは必要?お布施相場は?
仏壇の処分を考えたとき、最も気になるのが「供養(魂抜き)が必要なのか」ということです。
結論から述べますと、あなたが信心深いなら魂抜きは必要です。裏を返せば、信仰心があまりないのであれば不要ということになります。実は魂抜きは絶対にしなくてはならないものではなく、あくまでもあなたの考え方で決めて良いものなのです。
実際に弊社では、1割程度のお客様から「処分だけお願いしたい」と希望されます。お客様のご希望ですから、もちろんそのとおりに対応します。
ただ、弊社では特別な事情がない限り、仏壇処分の際には魂抜きをおすすめしています。その理由は以下のとおりです。
目次
「バチが当たったかもしれない」
あるお客様からこのようなお電話をいただきました。この方は4ヶ月前に弊社の仏壇整理をご利用いただいたお客様で、「宗教のことはよくわからないし信じてないので引取処分だけお願いしたい」と処分のみを希望されていました。しかし、その4ヶ月後次のような話をお聞きすることになりました。
「最近よくないことばかりで・・・仕事で事故が立て続いてます」
「解体業をしているんですが元請けにも迷惑を掛けるレベルの事故なんです」
「家族の怪我も増えているんです。こんなこと初めてです」
「新築して1年のところに住んでいますが、たまに照明がピラピラ(明滅する)するんです」
「正直怖いです」
「思い当たるフシが仏壇を供養をせずに捨てたことです」
「恥を忍んで言いますがバチが当たったと思っています」
「今からでも供養はできないでしょうか?」
事故や怪我が増え、1年で照明がおかしくなったとのことなど、どう考えてもバチや祟りの類としか考えられないとのお話だったのです。4ヶ月前は元気だった方でしたが、声色も元気がなく意気消沈しておられました。
たしかにこれだけのことが続くと不安になるのもよくわかります。このときはお客様のご希望もあり、お祓いを手配させていただいたのでした。
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ここで考えていただきたいことは、仏壇の供養をしなかった場合、真相がわからない恐怖に悩む可能性があることなのです。このお客様が言う通り、もしかすると本当にバチや祟りがあったのかもしれません。たしかにそうだったら怖いですよね。
しかし、事故や怪我がたまたま立て続いただけかもしれません。照明も不良品だっただけかもしれないですよね。
ただ真相を調べるすべがないため、仏壇を供養せずに捨てたバチが当たったと思いこんでしまわれていました。人間というのは、信仰心がなくても不幸が重なると何か得体のしれないものに責任を転嫁してしまいがちなのです。
で、ここでなぜ弊社がご供養をおすすめするのかに話が繋がります。
仏壇の処分というのは人生の中で何回もあるものではありません。また、仰々しいことをするわけでもありませんし、驚くほど高額なお布施が必要でもありません。
このちょっとした手間をかけるだけで、今後の人生の心持ちが楽になるのであれば、仏教を信仰している、していない関係なくご供養を行うべきだと考えるからです。
おそらくこの方も仏壇の供養をしていたら、「仕事のときはもっと気をつけよう」「家族の健康に気を配ろう」と襟を正しただけだったのではないでしょうか。照明のチラツキについては気にもとめなかったはずですよね。
ちょっとした心がけなのです。
節約のためご自身ですべて手配して供養処分してもいいです。ご自身で手配が難しければ、弊社のような業者に依頼していいです。いずれにしてもそう難しいことではないため、特別な理由がない限り仏壇のご供養はすることをおすすめします。
魂抜き~処分までの手順
ここまでご覧いただけたのであれば、仏壇処分の際に供養をしたほうが良いと感じていただいたはずです。次は実際に供養(魂抜き)から処分までの手順を解説していきましょう。といってもそう難しいことではありません。
1,菩提寺があれば相談する
2,僧侶派遣サービスを利用
3,仏壇整理業者を利用
上記の中からあなたに合う方法で供養が可能です。一つずつ解説ししていきましょう。
1,菩提寺に相談する
間違いのない方法が菩提寺(ぼだいじ)に相談することです。菩提寺とは先祖代々のお墓や納骨堂をお世話してもらっているお寺のことで、仏事法要でもお世話になることになります。
例えば、お盆にお経を上げに来てもらっていたお坊様がいらっしゃいませんでしたか?ほとんどの場合そこが菩提寺ですので、仏壇を処分する際にはそちらに相談すると良いでしょう。やはり昔からお付き合いのあるお坊様にお経をいただくのは安心だと思います。菩提寺としても檀家さんの希望ですので快く対応してくれます。
ただし、お坊様はあなたが思う以上に忙しくされています。そのため直近になっての依頼は断られてしまいます。できれば1ヶ月前からの予約を心がけてください。
【お坊様は忙しい】
菩提寺にお願いする場合、家まで出向いて魂抜きをお願いすることになります。このときに「お布施」「お車代(近隣なら不要)」が必要となります。(※お布施については後述します)
菩提寺では仏壇の処分までは対応してないことが多いです。魂抜きが終わったあとは、ご自身で処分の手配をする必要がありますので、そのつもりでお願いするようにしましょう。
2,僧侶派遣サービスを利用
そもそも菩提寺がない、引っ越しでお付き合いがなくなった等の場合は、僧侶派遣サービスを利用すると良いでしょう。僧侶派遣サービスというのは必要なときだけ仏事法要をお願いすることができるサービスです。
仏壇処分の場合ですと、魂抜きだけ行っていただけるため、その後のお付き合いなどを心配する必要がありません。また、料金も予め決まっているためお布施のことで悩む必要もありません。
どんなお坊様が来るのかわからない不安点はありますが、檀家ではない方には大変ありがたいサービスとなっています。ただしこちらも仏壇の処分までは対応されていませんので処分はご自身で行いましょう。
1番と2番を選択する場合、仏壇は自分で処分することになります。仏壇の処分方法は、
①地域のクリーンセンターに持ち込む
②粗大ゴミとして出す
が一般的です。いずれの方法でも1,000円程度で処分できるため便利です。反面、クリーンセンターに持ち込む場合は仏壇を運び出し車に乗せる必要があり、協力者と大きな車がなければ利用できません。粗大ゴミとして出す場合でも、指定の場所までご自身で運び出す必要があります。条件が揃ってしまえば安価に処分できますが、難しい場合は別の方法を考えましょう。
ちなみに仏壇を処分する際には、地域の生活環境課に相談すると親切にアドバイスを頂けます。仏壇を処分するなんて初めての方ばかりだと思いますので、まずは生活環境課に相談してみてください。
3,仏壇整理業者を利用
時間がなく魂抜きの手配ができない場合や、処分をご自身ではできない場合には、仏壇整理業者を利用すると便利です。例えば弊社ですと、「引取」「保管」「魂抜き」「処分」までをすべてお任せいただけるため、忙しい方からのご依頼をいただけております。
実際の流れですが、仏壇はこれまで安置していたままの状態でも大丈夫です。引き出しの中の仏具等も丁寧に取り出しお預かりいたします。
【お祀りしている状態のままで対応します】
仏壇だけではなく、「位牌」「掛軸」「過去帳」「仏像」なども同時に引き取り可能です。
【位牌や仏像も同時に引き取り】
近年では遺品整理の際にご利用いただくケースが多くなっており、仏壇仏具以外にも、故人が使っていたメガネや布団なども供養してほしいと希望される方が多くなってきました。こういったケースでももちろん大丈夫です。
【仏壇は養生カバーに包んで運び出します】
また、料金にはお布施も含まれているため、お布施の金額で悩むこともありません。ご自身ですべて手配する方法と比べると料金はかかりますが、忙しい方や協力者がいない方からは喜びの声を頂いています。
魂抜き法要のお布施相場
ご自身で魂抜きを手配する場合にはお布施が必要となります。実際に魂抜きをお願いするときはいくらお包みすればいいのでしょうか。
全国の相場で言いますと、魂抜きの相場は1万~5万円程度とされています。しかしあまりにも金額差があるのでかえって悩んでしまいますよね。
そこで弊社の対応エリアである福岡県、佐賀県、熊本県、大分県、長崎県、山口県にある50のお寺様に、実際に聞き込み調査を行いました。やはり多くのお寺様では「お気持ちで大丈夫ですよ」と濁した言い方をされますが、事情を話した上で詳しい回答をいただきました。
結論から言いますと、もっとも多いのが2万~3万円です。したがってお車代なども含めて3万円お包みすれば間違いないと思われます。
4万円や5万円お包みする方もいらっしゃいますか?と突っ込んでお尋ねしたところ、「そんなには必要ありませんよ」との回答が多かったです。中には「5,000円」や「1万円でいいですよ」とおっしゃってくださる住職様もおられましたが、わざわざ家まで出向いてお経を挙げていただくのですからあまりにも安いのはどうかと思います。ですので最低でも2万円、一般的には3万円程度と考えていただくと良いでしょう。
今回の有意義なお話の中で、ちょっと衝撃的な事実があることも判明しました。それが高額なお布施を請求するお坊様もいらっしゃるというものです。その住職様の話では「お坊さんでもいろんな方がいらっしゃいます。会社でも色んな人がいるでしょう?それと同じなんです」とのことで、お布施が少ないと不機嫌になられたり、皆さん○○万円程度はご用意いただいています、と相場よりも高額な請求をされる方もいるとのことでした。
お布施というのは「お世話になったお礼」ですのでいくら包んでも問題ありません。しかし、相場というのはなんにでもあります。今回魂抜きの相場が2万~3万円ということがわかりましたので、数十万円請求されることはおかしなことだと考えて良いでしょう。そうしたケースにあった場合、そのお寺様とのお付き合いは考え直したほうが良いのかもしれません。(あなたがお気持ちで数十万円お包みしたいのであればこの限りではありません)
それと、今回の聞き込み調査でよくわかりましたが、お寺様の対応はこちらが恐縮するくらい丁寧なものだということです。
【実は相談しやすいお寺様が多い】
なんとなくお寺に電話をするのってハードルが高い気がしませんか? 普段から交流があればそんなことはないのでしょうが、実家を離れている方や宗教が身近でない方からすると電話すらしにくいものだと思います。
しかしそんなことはないので、供養の流れや、自分の地域ではいくら位包んであるのかを知りたい場合は、ぜひ直接お聞きすることをおすすめします。本当に丁寧に説明してもらえます。
中には仏壇処分の際の心構えを教えてくださる住職様や、「買い換えるときならここの仏具店が良心的ですよ」といったアドバイスもしていただける女性住職様もいらっしゃいました(バックマージンも貰ってないんですよ~。ウフフとのことでした)。普段聞くことのできない有意義なお話も聞けるいいタイミングだと思います。
まとめ
このページでは「供養は必要か」「供養処分の手順は?」「魂抜きの際のお布施相場」の3つの疑問にお答えしてきました。参考になったでしょうか?
仏壇処分の際には魂抜き供養はしたほうが良いです。それだけで気になることが立て続いたときでも、正体不明のなにかのせいにすることがなくなります。
供養から処分をご自身で手配される場合は、お寺様への予約は1ヶ月前から行い、供養後の処分方法も事前に確認しておきましょう。
魂抜きのお布施に関しては2万~3万円お包みすると間違いないと思われます。わからないことがあれば気軽に問い合わせてみるのもおすすめです。
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