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遺品整理で抑えておくべき各種手続き

投稿日:2024年5月5日 | 最終更新日:2024年5月5日

 

遺品整理を行うとき、さまざまな手続きが必要になります。その中でも、ほとんどの方に関わる手続きが以下の4項目です。

 

  • 不動産の手続き
  • 銀行の手続き
  • 保険の手続き
  • 車両の手続き

 

どれも重要な手続きであり、これらの手続きを忘れてしまうと面倒な相続問題に発展することがあります。

 

そこでここでは、遺品整理の際に重要な、各種手続きの基礎について述べていきたいと思います。

 

不動産の手続き

まずは不動産の手続きから見ていきます。「うちには財産はないから相続問題とは無縁」と思われていても、後々不動産を巡って家族間で争いになることもあるのです。

 

不動産の所有者名義を変更する

不動産(家)の所有者が亡くなると、その所有権は相続人に移ります。このとき、不動産の名義を変更しなければいけませんが、この変更手続きを「相続登記」といいます。

 

このとき、動産物(預貯金、物品など)は除外されます。あくまでも不動産(土地、家屋など)の相続手続きの一つです。

 

相続登記をしないとどうなるのか

相続登記は、いつまでにしなくてはならないという決まりがありません。したがって、故人の名義のままにしておいても法的な処罰はありません。

 

しかし、別の問題が出てきます。

 

それは相続トラブルです。例えば、遺産分割協議で土地を相続したとします。このとき、相続登記をしておかなければ、法的な保護を受けることができません。

 

そのため、遺産分割協議を行い合意の上で遺産を分割していたとしても、時を経て他の相続人が「気が変わった」と主張すれば、その主張が正当なものであれば土地を分割しなくてはならないのです。

 

また、一番わかりやすい例として、不動産の売却ができないことが挙げられます。そもそも相続登記を行い名義を変更していなければ、その不動産の所有者は故人のままです。

 

自分の所有物ではないため、勝手に売却することができません。その他、その不動産を他人に貸すこともできませんし、担保にしてお金を借りることもできません。

 

要は、正当な理由で不動産を相続したのであれば、法的に自分のものにしておくことで後々のトラブルを回避できると考えるとわかりやすいです。

 

銀行の手続き

遺品整理をしていると、必ず出てくるものとして通帳が挙げられます。ほとんどの場合、事前に遺族の方が見つけ出していることが多いですが、それでも見つけることができなかった通帳が出てくるものです。銀行や通帳に関する手続きはどのようなものがあるでしょうか。

 

名義人が亡くなると口座はどうなるのか

銀行は名義人の死亡がわかった時点で、すぐさま口座を凍結します。

 

凍結された口座は、法的な手続きを行わなければ払い戻しをすることができません。もしもその口座をメインに使っており、生活費や月々の支払いなどをその口座から出していた場合には生活に支障が出ることも考えられます。

 

遺族にとって銀行口座の凍結は、このように頭を抱える問題になる可能性があるのです。

 

それでは、銀行はなぜ口座をすぐさま凍結するのでしょうか。答えは簡単であり、相続問題に巻き込まれたくないからです。

 

例えば、名義人が死亡した後、口座の凍結前に相続人の一人が無断で預金を引き出してしまったとします。しかし、預貯金は遺産相続の対象であるため、相続が終わる前に払い戻しをしてしまうと、その他の相続人からクレームがつく可能性が高いです。

 

このような相続問題に巻き込まれないためにも、名義人の死亡が確認された時点で口座が凍結されるのです。

 

預金相続に必要な書類

銀行口座の凍結により、預貯金が引き出せなくなる可能性があることがわかりました。それでは、どのようにすれば凍結されてしまった銀行口座を利用できるようになるのでしょうか。

 

そのためには、必要な書類を揃えなくてはいけません。

 

預貯金を相続するために必要な書類として、一般的には以下のものが挙げられます。ただ、これについては金融機関により違いがあるため、必ず調べる必要があります。

 

遺言書がある場合

①遺言書
②検認調書もしくは検認済証明書
③故人の戸籍謄本
④預金を相続する人の印鑑証明書
⑤遺言執行者の選任審判書謄本

 

遺言書がない場合

①遺産分割協議書
②故人の除籍謄本、戸籍謄本もしくは全部事項証明書
③相続人全員の戸籍謄本もしくは全部事項証明書
④相続人全員の印鑑証明書

 

一般的にはこれらの書類が必要になります。また、金融機関の通帳、カード、届出印も当然必要です。知識がある人であれば自分でも銀行口座の相続手続きは可能です。ただ、普通であればこれらの書類を揃えることすらも難しいです。

 

さらに書類を揃えるだけではなく、銀行に何度も足を運び所定の手続きを行わなくてはいけません。そのため、これらの手続きを行ってくれる弁護士や司法書士などのプロに頼むのが無難な選択になります。

 

遺品整理で銀行の通帳が出てくることは多いです。ご自身で遺品整理をしていて見慣れない通帳が出てきたときは、慌てずにまずは専門家に相談することが重要になります。

 

保険の手続き

遺品整理をしていると、保険証券が出てくることがあります。中には、遺族の方が把握していなかった保険証券が見つかることもあり、遺品整理のときは特に気をつけて捜索します。

 

生命保険などの各種保険の受け取り手続きは遺族の方にとって重要です。ここでは、このような保険の受け取り手続き時の注意点について解説していきます。

 

生命保険金は相続財産ではない

被保険者が死亡することで受け取ることができる保険に生命保険があります。生命保険に加入しておけば、被保険者が交通事故や病気で死亡したとき、受取人に指定された人は莫大な保険金を受け取ることができます。

 

これは、単純に保険契約による受取人として受け取るわけですから、保険金が相続財産にみなされることはありません。しかし、その金額の大きさから故人の財産と勘違いしてしまうケースがあります。

 

例えば、遺産相続で故人に莫大な借金が見つかったとします。このとき、故人が残した遺産よりも借金の額のほうが大きければ、多くの人は相続放棄(すべての財産を相続しないこと)を選択します。

 

このとき保険金を相続財産だと勘違いしてしまい、保険金を受け取ることができるにもかかわらず、保険金請求をしないケースがあります。

 

しかし、上記で述べたように生命保険は相続財産ではありません。したがって、相続放棄したからといって保険金まで放棄したことにはならないのです。

 

つまり、生命保険は被保険者(故人)と保険会社の契約に則ったものであり、受取人は保険会社とやり取りして保険金を受け取ればよいだけなのです。

 

例外として、生命保険金の受取人を指定していない場合は遺産分割の対象になります。ただ、保険金の受取人を指定していないケースは極めて稀です。

 

通常であれば、受取人が保険会社に請求することでスムーズに保険金を受け取ることができます。

 

保険金は請求しなければ受け取ることができない

上記でも少し触れていますが、保険金は受取人が請求することでようやく受け取ることができます。つまり、正当な受取人であっても請求をしない限り保険金が下りることはありません。

 

このとき注意しなければいけないことに、保険金の受け取りには期限があるということです。

 

生命保険を例にとると、保険金の受け取り期限は「3年間」と規定されています。したがって、この期間内に請求しなければ正当な受取人であっても保険金が支払われなくなってしまいます。

 

特に、遺品整理を行わず遺品を長年放置していたときなどは注意が必要です。遺品整理を行った際に、遺族が把握していなかった保険証券が出てくる可能性があるからです。

 

やはり大切なことは、どのような保険に加入しているのか生前によく話し合うことです。そして、これらのことを家族にわかるようにエンディングノートなどを活用して残しておくことが大切です。

 

保険金が支払われないケース

生命保険に加入していても、「免責事由」に該当するケースでは保険金が支払われることはありません。免責事由とは、いわゆる「例外」です。

 

なぜ免責事由というものが存在するのでしょうか。それは、社会的に支払うことを不当と判断されたり、不正に保険金を受け取ったりされることを防ぐためです。

 

一例として、次のようなケースでは保険金は支払われません。

 

  • 生命保険に加入後、3年以内の自殺
  • 保険金目当ての殺人
  • 法律違反による事故での死亡(酒酔い運転など)
  • 犯罪を犯し極刑になった場合
  • 戦争での死亡
  • 天災による死亡
  • 契約時に嘘の申告をしていた場合

 

これらの事項については免責事由が適用されます。保険金請求をする際には注意が必要です。

 

最後に車両に関する手続きを見てみましょう。

 

車両の手続き

遺品整理のとき、どう手続きを行ってよいものか困るものに車両の手続きがあります。故人の乗っていた車をそのまま使いたいときや、免許を持つものがおらず廃車にしたいときなどです。

 

いずれにしても、車両は故人の遺産になるので、まずは誰がその車両を相続するのかを決めなくてはいけません。相続する人が決まってから各種手続きを行う必要があります。

 

それでは、故人の車両を相続した場合、どのような手続きを行えばよいでしょうか。以下に詳しく述べていきます。

 

車両の名義変更

故人の車を相続し、継続して使用したいときや売却したいときには名義変更をする必要があります。名義変更をするためには、まずは必要な書類を作成しなければいけません。必要な書類は以下の通りです。

 

  • 車検証
  • 戸籍謄本(必要に応じて除籍謄本も必要)
  • 印鑑証明書
  • 遺産分割協議書
  • 相続人の実印を押印した委任状
  • 車庫証明書(名義人と相続人の住所が違う場合)

 

 

これらのものを準備して、管轄の陸運局で所定の手続きを行います。また、自分で手続きをすることが難しい場合は、委任状さえあれば第3者に代行してもうこともできます。

 

必要書類さえ揃っていれば、手続き自体は難しいものではありません。まずは所轄の陸運局に相談してみましょう。

 

車両の廃車手続き

年式が古く乗ることができないし車や、故人が趣味で乗っていたバイクなど、相続人が必要としない車両や売却でいない車両は廃車にすることになると思います。

 

廃車の手続きをしていないと、たとえ乗っていないとしても自動車税の納付書が送られてくるという恐ろしい目にあうことになります。そのようなことにならないためにも、必要のない車両は速やかに手続きを行いましょう。

 

廃車にするためには、車両を正式に相続し、名義人が変更されていることが前提です。また、廃車の種類によって必要な書類が変わります。その種類は以下の3つになります。

 

永久抹消登録

古かったり壊れていたりすることを理由に、車両を解体した場合に行う手続きです。この手続きを行うと、二度とその車両を使うことができなくなるので注意が必要です。

 

永久抹消登録を行うには、解体業者から「移動報告番号」「解体記録日」の連絡が来てから15日以内に手続きを終わらせなくてはいけません。

 

一時抹消登録

例えば、長期海外出張などの理由により、長期間車を使わない状況では、「一時抹消登録」という手続きをする必要があります。

 

これは「一時的に車を使用しません」と陸運局に申告するもので、後々車を使用する場合の廃車手続きです。車を相続しても駐車場がなく、実家に置いておかなければならない状況なども考えられます。

 

車を相続したものの、これからどのようにしようかと悩む場合は、この一時抹消登録をしておくと良いです。

 

解体届出

解体届出とは、一時抹消で使用を中止していた車を解体したときに届け出る書類です。「使う予定で残しておいた車両だがやはり使うことがない」と判断したときに行います。

 

永久抹消と同様に、解体業者から「移動報告番号」「解体記録日」の連絡が来てから「解体届出」をする必要があります。解体届出は、永久抹消ををした場合には必要ありません。

 

このように、廃車をするにも種類があり、ご自身の利用環境にあわせた選択をする必要があります。

 

遺品整理時に車の処遇について悩んでいる方は多いです。これまで解説したことを参考にして、ご自身にあった手続きを行ってください。

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