遺言書を残すメリットを知り家族に思いを伝える
投稿日:2024年5月13日 | 最終更新日:2024年5月24日
生前整理を行う中で、遺言書を作るメリットは大きいのですが具体的にどのようなメリットがあるのかを知る人は少ないようです。
遺言書のメリット知ることで、「遺言書を作成してみよう」と思うことができるかもしれません。また、デメリットを知ることで、遺言書の作成中につまづくことがなくなります。ここでは、生前整理を行う中で、遺言書を残すメリットとデメリットについて詳しく述べていきます。
Table of Contents
遺言書を残すメリット
まずは遺言書を残すメリットについて解説していきます。
自分の財産を自分の意思で分配することができる
遺言書を書くことで、自分の財産を特定の人に相続させたり、相続させる財産に差をつけたりして分配することができます。
一般的に遺産の相続は、家族やその親類が相続することになります。これを法定相続人といいますが、遺言書を残すことで、法定相続人以外にも財産を相続させることができます。例えば、内縁の妻や長男の嫁(長女の旦那)などです。
なお、海外ではペットに遺産を相続させるケースもあります。ただ、日本の民法ではペットに遺産を残すことは認められていないので注意が必要です。
また、「長男に事業を引き継いでほしい」、「晩年に特にお世話になった長女に財産の半分を渡したい」など、自分の財産を分配する割合を自分で決めることができます。
したがって、特定の人物に相続させたくない場合も有効です。「親不孝だった長男に財産を渡したくない」、「相続人にふさわしくない」といった場合に遺言書は有効です。
遺言書を作成することで、これらを自分の意思で選択することができます。
遺産分割協議を省略することができる
遺言書を残さない場合、民法に従い遺産を分割しなければなりません。このとき、法定相続人全員で話し合い、遺産を分割することになります。これを遺産分割協議といいます。
しかし、遺言書を残しておけば、遺産分割協議の必要はありません。とくに相続人が多数いる場合は、遺産分割協議は大変面倒なものになりがちです。
このときに遺言書を残すことで、相続人の負担を大幅に減らすことができ、相続手続きをスムーズに行うことができます。
家族間でのトラブルを回避することができる
遺言書を残しておくと、相続に関する家族のトラブルを回避することができます。相続にはお金が絡んできます。普段仲が良かった家族でも、お金が絡むとガラリと態度が変わる可能性があります。
「私の家族に限ってそのようなことはない」と信じたいですが、些細なトラブルも起こらないように事前に手を打っておくことが大切です。
愛する人へラブレターを書くことができる
遺言書は、財産をどのように分配するのかを記述するものと考えがちですが、そうではありません。
遺言書は何を書いてもかまいません。法的な効力がない遺言書でも良いのです。例えば、次のようなことを書いてみてはいかがでしょうか。
・長年連れ添った妻への感謝の言葉
・苦しいときに助けてくれた友人への感謝の言葉
・長年秘密にしていたこと
・子供達に特に伝えたいこと
・自分がどれだけ幸せだったか
このような面と向かって伝えることが恥かしいことでも、遺言書を通して伝えることができます。しかも、自分はすでにこの世にはいないので恥かしくないです。
遺言書は堅苦しいものと決め付けず、愛する家族に向けたラブレターとして残してみてはいかがでしょうか?
遺言書を残すデメリット
遺言書を残すメリットは多いです。それでは、逆に遺言書を書くことで考えられるデメリットは何があるでしょうか。
内容によってはトラブルになる
遺言書の作成は、相続人同士のトラブルを回避するために有効な手段です。しかし、その内容に不備があったり、到底納得のできない内容であったりした場合は、それが原因となりトラブルになる可能性があります。
例えば、遺言書を作成したあと、家を購入して新しい財産が発生したとします。これを、遺言書に明記していなければ、その家の相続についてトラブルに発展するかもしれません。
トラブルを防ぐために作成した遺言書が原因で、トラブルになることがないように慎重に作成しなければいけません。
時間がかかる
遺言書をこれから作成しようと考える方は、当たり前のことですがどのように作成してよいかわかりません。そのため、遺言書の書き方やルールを学んだ上で作成する必要があります。
したがって、時間がかかります。時間がかかる詳しい理由を以下に示します。
自分で作成する遺言書を、「自筆遺言書」といいます。自筆遺言書は、お金もかからず手軽に作ることができるメリットがあります。
しかし、自筆遺言書は手軽な反面、その内容や形式に不備があると、場合によっては「無効」となる可能性があります。これを防ぐために、「公正証書遺言」というものがあります。公正証書遺言の作成は少々面倒です。
公正証書遺言を作成するには、公証役場で公証人という人に遺言書を作成してもらいます。公証人とは、法律の専門家であり、主に公正証書の作成を行う人と思っていただければよいです。さらに、その内容を証人2人を含めて署名捺印した上で公証役場に保管してもらう方式をとる必要があります。
こうすることで、遺言書の内容や形式に不備が出ることがなく、効力の高い遺言書を作ることができます。しかし、作成までに時間がかかり、証人が2名いないと作成することができません。このように、公正証書遺言を作成する場合は、面倒な手続きと時間がかかります。
お金がかかる
上記で示した自筆遺言書であればお金がかかることはありません。しかし、より効力の高い公正証書遺言を作成する場合は、お金がかかります。
公正証書遺言の作成は、司法書士を通して作成するケースが一般的です。まず、この司法書士に支払う手数料がかかります。
さらに、公証人に支払う手数料もかかってきます。公証人への手数料は、財産の価格に応じて変動します。したがって、財産を多くお持ちの方は、それだけ公証人に支払う手数料が多くなります。
ここでは、遺言書を作成するメリットとデメリットについて解説してきました。生前整理を行う中で、遺言書を作るメリットは大きいです。
遺言書は、あなたの思いを残すツールです。同時に残される家族の相続問題を軽減することができるものです。小さなデメリットも考えられますが、そのデメリット以上のメリットが考えられます。
財産に限らず、あなたのこれまでの思いを家族に伝えるために、遺言書を作成してみてはいかがでしょうか。
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